大地の彫刻

以前から行ってみたかった、札幌のモエレ沼公園へ。
前から名前は知っていたけれど、
いつだったかのBRUTUSでの公園特集を読んで、
(この号は本当におもしろかった)
これは行かなくては、とこころから楽しみにしていたのでした。

彫刻家イサム・ノグチにより、
公園全体を大地に刻まれたひとつの彫刻として捉えて作られたこの公園。
1歩足を踏み入れたその瞬間に、
すべてが満たされるような、最高に心地よい気分に。

これだけ広大な場所に、ゴミがひとつもないことにも驚きました。
ゴミを捨てないで、とうような看板や、ゴミ箱すらひとつも存在していない。
それで、成立することができるのは、
「大地の彫刻」の美しさが、
訪れる人のこころにまでしっかり届いているからなのでしょう。

僕は公園で時間を過ごすことが好きで、
今までにいろいろな所に足を運んでいますが、
これほどまでに美学とコンセプトを貫いている、
モエレ沼公園との出会いは、とても大きなものでした。

今度は、まるまる一日、のんびり過ごしてみたいものです。


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夜行列車

一週間ほどの北海道への旅行。
飛行機でもよかったけれど、今回は、夜行列車で。

小さな頃に一度、夜行列車で北海道まで行ったことがあるのですが、
そのときのわくわくした感覚が忘れられなくて。
寝てしまうのはもったいないけれど、心地よい列車の揺れに眠気を誘われて、
はっと目を覚ますと、車窓からは、
朝焼けに照らされた穏やかで大きな北海道の大地が広がっている。
その時の感動は、とても鮮明に覚えています。

上野発、北斗星1号。
ホームに待機する濃紺の車両を目にすると、ますます胸が高鳴る。
お母さんと一緒に小さな男の子が列車に乗ろうとしている。
その男の子の少し緊張しながらもわくわくしていて、
興奮をおさえきれない、そんな様子を見て、
僕が小さな時も、きっとこんな感じだったのかな、と微笑ましくなる。

上野を出て、しばらくは都会の街並みを列車が走り、
見慣れたはずの通勤帰りの満員電車も、
ベッドに横になりながら眺めると、とても不思議な光景に見えてくる。
飛行機だったらとっくに北海道に到着している頃、
列車はまだ宇都宮を通過したところ。
こののんびりした感じが好きです。街の風景がゆっくりと移り変わっていく。
僕はほとんどの時間、車窓に額をくっつける姿勢で、外の景色を眺めていました。
曇り空だった為、残念ながら、満点の星空を眺めることは出来なかったけれど、
そのかわり、ぞっとするほど恐ろしい、暗闇を体験できました。
そんな中、ときおりぽつんと家の灯りが見えた時のなんともいえない安堵感。
街灯もないようなところで暮らす人が過ごす時間と、
満員電車に乗っている人が過ごす時間、
それは大きく異なるものだと思うけれど、同じ速度で流れていることを、
夜行列車の車窓からは、なんとなく感じることが出来ました。

青函トンネルを抜けて、ぼんやりと目を覚ますと、
広がる北海道の大地と海が僕の目に飛び込んでくる。
景色そのものももちろん美しいけれど、
夜行列車で過ごした時間を通して、この風景に出会うことが、
格別の感動をあたえてくれるのかな。

さてさて、北海道ではどんな時間を過ごそうか。

深煎りの珈琲

明日から一週間、旅行に出るので、
いいタイミングと思い、korgのキーボードを修理に。
これは、僕の機材周りで重要な役割(マスター鍵盤)で、
あまりに修理の時間がかかってしまうのは不便だったので。

下高井戸のkorg修理センターに直接持ち込んだその帰り、
そういえば、前々から行ってみたかった、
おいいしい珈琲のお店が近くだな、と思い、ふらっと寄り道。
珈琲に詳しい百景のタナカさんに以前教えていただいた、
千歳船橋にある珈琲工房ホリグチへ。

お店へ入るとすぐに、心地よい香りが漂っている。
BGMもなく、店員さんの真剣な表情などから感じる雰囲気は、
いつものドトールやスタバと違って、ちょっと緊張。
店員さんは珈琲を煎れて小さなカップで煎り具合をひと口確認してから、
テーブルに持ってきてくれる。ますます緊張。
僕は、姿勢を正して、ゆっくりと味わう。

これがこれが、めまいがするくらいに美味しいのです。
小さなカップに注がれた珈琲に、ここまで感動させてもらえるとは。
この初めての味覚との出会いは、だいぶ衝撃的でした。

日々を過ごす中で、
僕には知らないことや分からないことが山ほどあって、
そのことに向き合うたびに、
不安になったり心細くなってしまうような僕なのですが、
珈琲工房ホリグチの深煎りの珈琲を飲みながら、
知らないことに出会うことの素晴らしさを感じていたのでした。

移ろい続ける季節の中で

しばらくの間、制作作業に追われ、だいぶ忙しい毎日だったので、
スタジオ兼、僕の部屋もだいぶ荒れ放題になっていました。
これでは、新しい曲の制作もはかどらないので、
ちょっとゆとりのできた今のタイミングで、整理整頓を。
人それぞれだと思うのですが、僕の場合、
部屋のきれいさに比例して、よいアイディアが湧いてくるようなので、
ひとつのプロジェクトを終えるごとに、大まかに整理しています。

そして、生活の習慣も、元通りに修正しなくては、と、
ひさしぶりに、1時間弱のランニングに出かける。
相当ご無沙汰していたランニングシューズを履いて、夕方に家を出る。
体力の衰えをだいぶ心配しながらの道のり。
走っている最中、見る見るうちに、日が沈み、暗闇が僕を包む。
どれほど、タイムが落ちてしまったのだろう、
そんな不安を抱えながら、家に戻ると、
それほどのタイムの変化はなかった。

どうやら、季節が確実なスピードで動き続けていることを、
うっかり忘れていたようです。

こころからはなれないお話

"The Stories Linger in My Mind"

僕が日々を過ごす中で感じることは、
とてもぼんやりとしていて、うまく言葉にできなかったり、
ふわふわと形のないようなものが多いです。
それらは一見頼りなさげに存在しているけれど、
でも、自分がちょっと不安になったり息苦しくなって、
様々なことを失いつつある時にも、
深呼吸をすると、それは確かに、しっかりと存在している。
そんな断片のひとつひとつを丁寧に紡ぎ合わせるように、
音楽をつくっていきたいと思っています。

official website

organic stereoのofficial websiteがopenしました。
サイトを作ってくれた、webデザイナーのサトウショウタくん、
イラストを描いてくれたスガノトモヒコくん、
本当にどうもありがとう。

organic stereoの活動は高校生のころから、
のんびりとゆったりと、続けてきているのですが、
その流れを保ちながらも、
これからは、気持ちの面ではどっしりとした構えで、
活動に取り組んでいこうと思っています。

どうぞよろしくおねがいします。