夜行列車

一週間ほどの北海道への旅行。
飛行機でもよかったけれど、今回は、夜行列車で。

小さな頃に一度、夜行列車で北海道まで行ったことがあるのですが、
そのときのわくわくした感覚が忘れられなくて。
寝てしまうのはもったいないけれど、心地よい列車の揺れに眠気を誘われて、
はっと目を覚ますと、車窓からは、
朝焼けに照らされた穏やかで大きな北海道の大地が広がっている。
その時の感動は、とても鮮明に覚えています。

上野発、北斗星1号。
ホームに待機する濃紺の車両を目にすると、ますます胸が高鳴る。
お母さんと一緒に小さな男の子が列車に乗ろうとしている。
その男の子の少し緊張しながらもわくわくしていて、
興奮をおさえきれない、そんな様子を見て、
僕が小さな時も、きっとこんな感じだったのかな、と微笑ましくなる。

上野を出て、しばらくは都会の街並みを列車が走り、
見慣れたはずの通勤帰りの満員電車も、
ベッドに横になりながら眺めると、とても不思議な光景に見えてくる。
飛行機だったらとっくに北海道に到着している頃、
列車はまだ宇都宮を通過したところ。
こののんびりした感じが好きです。街の風景がゆっくりと移り変わっていく。
僕はほとんどの時間、車窓に額をくっつける姿勢で、外の景色を眺めていました。
曇り空だった為、残念ながら、満点の星空を眺めることは出来なかったけれど、
そのかわり、ぞっとするほど恐ろしい、暗闇を体験できました。
そんな中、ときおりぽつんと家の灯りが見えた時のなんともいえない安堵感。
街灯もないようなところで暮らす人が過ごす時間と、
満員電車に乗っている人が過ごす時間、
それは大きく異なるものだと思うけれど、同じ速度で流れていることを、
夜行列車の車窓からは、なんとなく感じることが出来ました。

青函トンネルを抜けて、ぼんやりと目を覚ますと、
広がる北海道の大地と海が僕の目に飛び込んでくる。
景色そのものももちろん美しいけれど、
夜行列車で過ごした時間を通して、この風景に出会うことが、
格別の感動をあたえてくれるのかな。

さてさて、北海道ではどんな時間を過ごそうか。