ひとつだけで存在しているものはない

ちょっと前に、江國香織の「雨はコーラがのめない」という、
著者と愛犬とのつながりをモチーフにしたエッセイを読みました。

このエッセイでは、著者と愛犬「雨」が過ごす、
あたたかくて愛情のあるみちたりた時間が描かれています。
一緒に音楽を聴いたり、散歩したり、遊んだりする中での、
そのひとつひとつの描写には、あたたかみが感じられて、素敵です。

このエッセイを読んでから、
街ですれ違う犬の散歩の光景の見方が変わってきました。


外を歩いていて、犬の散歩をしている人に出会うと、
今までは、「かわいい犬だな」、「愛嬌ある犬だな」、という具合に、
犬ばかりに気をとられていたけれど、
犬の仕草からだんだんと視野を広げて、
飼い主さんと愛犬とのつながりを想像するようになりました。

犬がしっぽをふりながら楽しそうに歩くのも、ふてぶてしい仕草をするのも、
飼い主さんがしあわせそうなのも、イライラしているのも、
そこには、無意識だとしても、お互いのつながりがきっと存在している。


考えてみれば、僕たちの身の回りにあるものたちも、
そのものひとつだけで存在しているものはないわけで、
そんな「もの」と「もの」とのつながりあいに、
もっと意識的に関心を持つことができたらと思います。
そうしたら、毎日がより豊かになっていくのではないかな。
そして、世間で絶え間なく起きている、あまりに残酷な出来事も、
だんだんと減らしていくことができるのでは、と思います。

人のこころの中に確かに響く音

昨夜の渋谷Apple Storeでのライブ、
沢山の方が観に来て下さって、とてもうれしかったです。
どうもありがとうございました。

これで、Apple Store Tour 2007、
すべての行程を終えることができました。
このTour計画を立てた時には、
ほとんどライブ経験もないのに、
なんとも無謀なことのようにも感じていたのですが、
今回のApple Store Tour 2007を通じて、
organic stereoに対する自覚が以前よりも、
確かなものになったと感じています。
そして、各地を巡る中で出会った、
いつまでも忘れられないであろうたくさんの風景は、
これからの僕の音楽でしっかりと表現していけたらと思っています。

ライブ演奏に関して、まだまだ改善していきたい課題点は、
たっぷりとあるので、ひとつひとつ、じっくり向き合っていきます。
デジタルな技術を多く用いながらも、
人のこころの中に確かに響く音を奏でたいと思っています。

organic stereoの次回のライブは、
だいぶ先になってしまうと思いますが、
その機会には、ぜひ足を運んでいただけたらうれしいです。

まずは、2008.1.16にCDをリリースできること、
今からとても楽しみにしています。

CDのパッケージ

1st full album "The Stories Linger in My Mind"のCD発売は、
2008年1月16日に決定しました。

それに向けて、ジャケットやパッケージ部分の構成も整ってきました。
今回は、念願の紙ジャケで発表できそうです。
euphoriaでも毎回、紙ジャケ案が出るのですが、
コストの問題などで、なかなか実現が難しかったのです。
バンドのレコーディングでは、リハスタよりも高額なレコスタを、
何日も押さえなくてはいけなかったりするのに比べ、
organic stereoの制作はすべて僕の部屋で完結できるので、
コスト面で、ちょっとゆとりがあるのです。
そして、今回のジャケのイラストとしても、
紙ジャケの方がよりしっくりくるのではと思います。

その紙の材質まで、こと細かにこだわっています。
絵の質感を際立たせるために、一般的な光沢のあるものではなくて、
ほんの少しざらついたマットな素材を提案してみたり。
音楽配信が主流になりつつある今だからこそ、
CDのパッケージは、しっかり丁寧に、作り上げたいな、と思います。

デザインからパッケージに至まで、
いろいろとこと細かに対応してくれている、
デザイナーのサトウショウタくんに感謝感謝の気持ちです。
どうもありがとう。

*

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風が吹くと、わずかな落ち葉が舞う

お昼、サンドイッチを持って、公園へ。
東京の紅葉も、だんだんと見応えのあるものになってきました。
風が吹くと、わずかな落ち葉が舞う。
その落ち葉は数えられる程なので、一枚一枚を見届ける。

僕の着ていたパーカーに、蚊がとまっていることに気づく。
11月、もうだいぶ肌寒いけれど、まだ蚊と出会うなんて。
パーカーの上をあちこち移動して、必死にもがきながら血を吸おうとしている。
生き残れるかどうかの瀬戸際なのでしょう、異常な程の動き方からは、
その懸命さが伝わってきます。

紅葉に出会える蚊はだいぶ稀な存在ですね。

*

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ささやかなもの

2007 Apple Store Live Tourで、
沢山の場所に旅をする中で、感じたことです。

*

自分の知らない場所や慣れていない場所を訪れる時は、
とても緊張するし、期待よりも不安が大きくて、心細い気持ちになります。
でも、その分、そこでの出会いのひとつひとつに敏感になり、
普段の暮らしの中では気づくことのない、とても些細なことに対しても、
驚いたり、うれしくなったり、こころが温かくなったり、感動したり、
そして、感謝の気持ちがひしひしとこみ上げてきます。
こんなにも沢山の人やものに支えられて生きていることを実感します。

こうした気持ちを普段の日常の中でも感じることができて、
ささやかなものに対して感謝することができたら、
とてもすてきなことだと思います。

「人生は旅である」という、少々、ありふれていて、
あまり、こころにひっかかることが少ないようにも思える表現も、
実際の旅の中で感じることのできる、
ささやかなものに対する感謝の気持ちを、
普段の暮らしの中でも意識できたらいいなぁという、
そんな観点からアプローチしてみると、なんだか新鮮に響きます。

自然と体が動き出す

せっかくの北海道、早起きをして、
朝の札幌の街をお散歩しようと思っていましたが、
昨夜はだいぶ夜更かししてしまったこともあって、
目が覚めたのがチェックアウト間際。ちょっと慌てながら、部屋を出る。

千歳空港に着いてからは時間がたっぷりあったので、
宮越屋珈琲でのんびりと。僕の中で、珈琲ブームは相変わらず。
空港の売店でのじゃがぽっくるの大人気ぶりに驚く。

仙台空港は、時間帯も関係して、人の数もまばらで、
建物もきれいで、ゆとりのある心地よい空港でした。

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先週の福岡に続き、仙台も初めて訪れる場所。
どんな街なのか、わくわくした気持ちもありましたが、
それ以上に、euphoriaとしてのライブ経験もなければ、
ライブにお誘いできる知り合いもいなく、
観に来てくれる方は果たしてどれだけいるのかどうか、
そんなわけで、だいぶ過酷な状況を想定しながら、
覚悟を決めて、仙台Apple Storeへ到着。

Apple Storeのスタッフの方のてきぱきとした、
そして親切な対応にこころが落ち着く。
これまでに各地のApple Storeでお世話になってきましたが、
どのお店のスタッフの方も大変親切で、
ますますAppleが好きになってきています、今日この頃。

そして、本番。
昨夜のホテルでの最終リハのおかげで、落ち着いた心境で演奏ができました。
1〜2曲目の演奏を終えて、顔をあげると、驚く程にたくさんのお客さま方。
大きな拍手やorganic stereo liveでは初めての歓声までいただく。
リズミカルな楽曲では、踊り出す方まで(!)。
organic stereoのライブでは、いつの日か、
みんなが心地よく眠たくなるような、
ゆるーいセットを組んでみたいなぁ、思っていましたが、
自然と体が動き出すような、そんなセットも素敵だなぁ、と思いました。
ライブを観に来て下さった方、たまたま通りがかりで聴いて下さった方、
本当にどうもありがとうございました。
またぜひ仙台でライブができたらと思っています。

帰りの新幹線では、定番の牛タン弁当を。
底にある紐をひっぱると加熱してほかほかになるのですが、
これが、とても美味。さすがは駅弁グランプリ。


自宅に戻ってからの記憶はほとんどなくて、
気づいたら朝をむかえていました。
札幌に出発したのが、一週間くらい前のことのように思える程に、
いろいろなことに出会い、そして感じて、考えて、
貴重な時間を過ごすことができました。

先週末は福岡、大阪、名古屋、そして、今回の札幌、仙台。
短い間に、これほど沢山の場所に行ったことは初めてでした。
残すは、渋谷Apple Storeでのツアーフィナル、
このツアーで出会うことのできた、
沢山の人たちや場所に、感謝の気持ちを込めて、
よい演奏ができたらと思っています。

心地よい冷え込み

前日の夜に、euhporiaのライブ、その後打ち上げに参加して、
深夜に自宅に戻り、それから札幌、仙台でのライブに向けての荷物つくり。
そんなわけで、あまり眠ることができないまま、羽田空港に向かう。

飛行機は、うとうとしているうちに、千歳空港に到着。
寝ぼけ眼のまま飛行機を降りると、びっくりするほどの冷え込み。
そこで、完全に目が覚める、おまけに、euphoriaライブの疲労感も吹き飛ぶ。
僕が小さな頃、スキーをするために、冬の北海道によく来ていて、
その頃の楽しい記憶があるからなのでしょうか、
北海道に到着したときに感じる冷え込みが、なんとも心地よいのです。

札幌まで向かう電車から見える風景。
木々の葉は、赤や黄色に色濃く彩られています。
立ち並ぶ住宅の屋根の多くは、雪国らしく真っ平ら。
あの上に沢山の雪が積もるのも、もうすぐなのかな。

札幌Apple Storeに到着。

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ライブを観に来てくださった方、どうもありがとうございます。
ライブ中、mac上で自分が組んだプログラミング処理がうまく動作しない部分があり、
ちょっと冷や汗をかいてしまいましたが、
なんとか、流れを崩さずに演奏はできてひと安心。
観に来て下さった方に、euphoriaとしてもorganic stereoとしてもぜひまた北海道で、
ライブをしてください、とうれしいお言葉をいただきました。
ぜひぜひ実現できたらと思っています。

ライブ後には、僕の伯母の料亭で、
新鮮な北国の味を満喫。おいしかったなぁ。
ちょっぴり贅沢をさせていただきました。


ホテルに戻ると、
先ほどのライブでのプログラミングの修正部分の確認。

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最後に、明日の仙台でのライブに備えて、
すべての曲順を通して、よし、ばっちり、と思った頃には、
頭が冴えわたっていて、眠れそうになかったので、
深夜のすすきのの街をお散歩。
金曜日の夜ということもあって、人がとても多い。
心地良さそうなほろ酔い加減のおじさんたち。

僕は、コンビニでお酒を買って、部屋でひとり、ふわふわと。
扇谷一穂さんの歌う”Moon River”と共に、そのままぐっすりと眠りにつく。