travel

ささやかなもの

2007 Apple Store Live Tourで、
沢山の場所に旅をする中で、感じたことです。

*

自分の知らない場所や慣れていない場所を訪れる時は、
とても緊張するし、期待よりも不安が大きくて、心細い気持ちになります。
でも、その分、そこでの出会いのひとつひとつに敏感になり、
普段の暮らしの中では気づくことのない、とても些細なことに対しても、
驚いたり、うれしくなったり、こころが温かくなったり、感動したり、
そして、感謝の気持ちがひしひしとこみ上げてきます。
こんなにも沢山の人やものに支えられて生きていることを実感します。

こうした気持ちを普段の日常の中でも感じることができて、
ささやかなものに対して感謝することができたら、
とてもすてきなことだと思います。

「人生は旅である」という、少々、ありふれていて、
あまり、こころにひっかかることが少ないようにも思える表現も、
実際の旅の中で感じることのできる、
ささやかなものに対する感謝の気持ちを、
普段の暮らしの中でも意識できたらいいなぁという、
そんな観点からアプローチしてみると、なんだか新鮮に響きます。

自然と体が動き出す

せっかくの北海道、早起きをして、
朝の札幌の街をお散歩しようと思っていましたが、
昨夜はだいぶ夜更かししてしまったこともあって、
目が覚めたのがチェックアウト間際。ちょっと慌てながら、部屋を出る。

千歳空港に着いてからは時間がたっぷりあったので、
宮越屋珈琲でのんびりと。僕の中で、珈琲ブームは相変わらず。
空港の売店でのじゃがぽっくるの大人気ぶりに驚く。

仙台空港は、時間帯も関係して、人の数もまばらで、
建物もきれいで、ゆとりのある心地よい空港でした。

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先週の福岡に続き、仙台も初めて訪れる場所。
どんな街なのか、わくわくした気持ちもありましたが、
それ以上に、euphoriaとしてのライブ経験もなければ、
ライブにお誘いできる知り合いもいなく、
観に来てくれる方は果たしてどれだけいるのかどうか、
そんなわけで、だいぶ過酷な状況を想定しながら、
覚悟を決めて、仙台Apple Storeへ到着。

Apple Storeのスタッフの方のてきぱきとした、
そして親切な対応にこころが落ち着く。
これまでに各地のApple Storeでお世話になってきましたが、
どのお店のスタッフの方も大変親切で、
ますますAppleが好きになってきています、今日この頃。

そして、本番。
昨夜のホテルでの最終リハのおかげで、落ち着いた心境で演奏ができました。
1〜2曲目の演奏を終えて、顔をあげると、驚く程にたくさんのお客さま方。
大きな拍手やorganic stereo liveでは初めての歓声までいただく。
リズミカルな楽曲では、踊り出す方まで(!)。
organic stereoのライブでは、いつの日か、
みんなが心地よく眠たくなるような、
ゆるーいセットを組んでみたいなぁ、思っていましたが、
自然と体が動き出すような、そんなセットも素敵だなぁ、と思いました。
ライブを観に来て下さった方、たまたま通りがかりで聴いて下さった方、
本当にどうもありがとうございました。
またぜひ仙台でライブができたらと思っています。

帰りの新幹線では、定番の牛タン弁当を。
底にある紐をひっぱると加熱してほかほかになるのですが、
これが、とても美味。さすがは駅弁グランプリ。


自宅に戻ってからの記憶はほとんどなくて、
気づいたら朝をむかえていました。
札幌に出発したのが、一週間くらい前のことのように思える程に、
いろいろなことに出会い、そして感じて、考えて、
貴重な時間を過ごすことができました。

先週末は福岡、大阪、名古屋、そして、今回の札幌、仙台。
短い間に、これほど沢山の場所に行ったことは初めてでした。
残すは、渋谷Apple Storeでのツアーフィナル、
このツアーで出会うことのできた、
沢山の人たちや場所に、感謝の気持ちを込めて、
よい演奏ができたらと思っています。

心地よい冷え込み

前日の夜に、euhporiaのライブ、その後打ち上げに参加して、
深夜に自宅に戻り、それから札幌、仙台でのライブに向けての荷物つくり。
そんなわけで、あまり眠ることができないまま、羽田空港に向かう。

飛行機は、うとうとしているうちに、千歳空港に到着。
寝ぼけ眼のまま飛行機を降りると、びっくりするほどの冷え込み。
そこで、完全に目が覚める、おまけに、euphoriaライブの疲労感も吹き飛ぶ。
僕が小さな頃、スキーをするために、冬の北海道によく来ていて、
その頃の楽しい記憶があるからなのでしょうか、
北海道に到着したときに感じる冷え込みが、なんとも心地よいのです。

札幌まで向かう電車から見える風景。
木々の葉は、赤や黄色に色濃く彩られています。
立ち並ぶ住宅の屋根の多くは、雪国らしく真っ平ら。
あの上に沢山の雪が積もるのも、もうすぐなのかな。

札幌Apple Storeに到着。

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ライブを観に来てくださった方、どうもありがとうございます。
ライブ中、mac上で自分が組んだプログラミング処理がうまく動作しない部分があり、
ちょっと冷や汗をかいてしまいましたが、
なんとか、流れを崩さずに演奏はできてひと安心。
観に来て下さった方に、euphoriaとしてもorganic stereoとしてもぜひまた北海道で、
ライブをしてください、とうれしいお言葉をいただきました。
ぜひぜひ実現できたらと思っています。

ライブ後には、僕の伯母の料亭で、
新鮮な北国の味を満喫。おいしかったなぁ。
ちょっぴり贅沢をさせていただきました。


ホテルに戻ると、
先ほどのライブでのプログラミングの修正部分の確認。

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最後に、明日の仙台でのライブに備えて、
すべての曲順を通して、よし、ばっちり、と思った頃には、
頭が冴えわたっていて、眠れそうになかったので、
深夜のすすきのの街をお散歩。
金曜日の夜ということもあって、人がとても多い。
心地良さそうなほろ酔い加減のおじさんたち。

僕は、コンビニでお酒を買って、部屋でひとり、ふわふわと。
扇谷一穂さんの歌う”Moon River”と共に、そのままぐっすりと眠りにつく。


ハロウィンとおいしい天むす

昨日の心斎橋apple storeでのライブ後に、
観に来てくれた方に差し入れで、ハロウィンのお菓子詰め合わせをいただいて、

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(ありがとうございます!)

そうか、今は、ハロウィンなんだと気がついて、
今朝、名古屋行きの新幹線に乗る前に、パン屋さんで、パンプキンのスコーンを購入。
電車の旅は、わくわくします。

名古屋では、定番の味噌かつを食べました。美味。

名古屋栄のapple storeでは、入り口にorganic stereoの、
大きな看板をおいていて下さり、うれしかったです。

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演奏では、曲のつなぎにつまずいてしまった点が残念でしたが、
ひとつひとつの曲に対しては、ほどよい集中ができました。
観に来てくださった方、どうもありがとうございました。

名古屋で暮らしている、高校時代の友人2人も観に来てくれて、
ライブ後にはしばし談笑。久々の再会、有意義な時間。

そして、その後、東京に向かう新幹線のなかでは、
名古屋のおいしい天むすを。とても美味。

重たい荷物で肩が麻痺しながらも、無事、帰宅。

たくさんの人たち、景色、味覚に出会いながら、内容の濃い3日間でした。
来週末の札幌と仙台も充実した時を過ごせたらと思っています。

心斎橋の朝

朝目が覚めると、全身が筋肉痛。
おかしいな、euphoriaのライブのように体はあまり動いていないはずなのに、
と思ったのですが、それは、沢山の重たい機材を東京福岡大阪と運んだ筋肉痛でした。

世界一周ができそうな旅行カバン(大げさですが・笑)に機材を詰め込み、
大きなミキサーケース、そしてギターケース。

もっとシンプルに出来ないものかと考えたのですが、
今回のライブセットを再現するには、どうしても必要なのでした。

euphoriaもorganic stereoもライブでは筋肉痛が必須なのかも。

さてさて、重たい体と重たい荷物を持ち上げて、
心斎橋Apple Storeに行ってきます。

ツアー初日

ツアー初日、福岡でのライブ観に来てくださったみなさん、
どうもありがとうございました。
のびのびと演奏が出来ました。

ライブ後には、すぐに大阪に向かわなくてはならなかったので、
初めての福岡の街をゆっくり歩くことができずに残念。
でも、リハ前に食べた博多ラーメンはとても美味でした。

大阪に向かう新幹線の中では、ちょっと慣れないことを。
ビールと明太子のおつまみという組み合わせ。
バーチャルサラリーマンを体験しました。

大阪に着いたら、おいしいお好み焼きを。

一日にこんなに沢山の場所へ移動したことは初めてで、
その場所その場所の人柄や味や空気感が色濃く感じられた一日でした。

明日の大阪ライブもよいものに出来たらと思っています。

ちょうどミナミホイールの最中、apple storeでのライブ後には、
いろんなライブが観られるのも楽しみです。

欲張りなしあわせ

「行く言葉が美しければ、来る言葉も美しい」。
今日行ってきた有珠善光寺に書かれていたことば。
いつもだったらお寺に書かれていることばを覚えていることは少ないけれど、
北海道の過ごしすい気候、ほのぼのとした時間の流れの中を旅している時に出会うと、
なんだか、不思議とこころに響くものです。

今日は有珠善光寺まで自転車で出かける。
途中、大きくゆったりとした海岸沿いの道があり、
そこで少し休憩。
これだけ大きな美しい海岸でも、誰一人いない。
北海道はどれほど広いのでしょう。関東近郊では、まったくありえない光景です。
静かな海岸に、僕ひとりと、たくさんのカモメたち。
やさしく打ち寄せる波の音に耳を傾けて、その音を録音(よい素材になりそう)。

善光寺自然公園にはちょっとした散策路があって、
そこではもう、ほのかに紅葉が始まっていました。
東京とは一ヶ月ほどの時間差があるのでしょうか。
僕の好きな季節を二回分も楽しめるという、
なんとも欲張りなしあわせです。


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大地の彫刻

以前から行ってみたかった、札幌のモエレ沼公園へ。
前から名前は知っていたけれど、
いつだったかのBRUTUSでの公園特集を読んで、
(この号は本当におもしろかった)
これは行かなくては、とこころから楽しみにしていたのでした。

彫刻家イサム・ノグチにより、
公園全体を大地に刻まれたひとつの彫刻として捉えて作られたこの公園。
1歩足を踏み入れたその瞬間に、
すべてが満たされるような、最高に心地よい気分に。

これだけ広大な場所に、ゴミがひとつもないことにも驚きました。
ゴミを捨てないで、とうような看板や、ゴミ箱すらひとつも存在していない。
それで、成立することができるのは、
「大地の彫刻」の美しさが、
訪れる人のこころにまでしっかり届いているからなのでしょう。

僕は公園で時間を過ごすことが好きで、
今までにいろいろな所に足を運んでいますが、
これほどまでに美学とコンセプトを貫いている、
モエレ沼公園との出会いは、とても大きなものでした。

今度は、まるまる一日、のんびり過ごしてみたいものです。


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夜行列車

一週間ほどの北海道への旅行。
飛行機でもよかったけれど、今回は、夜行列車で。

小さな頃に一度、夜行列車で北海道まで行ったことがあるのですが、
そのときのわくわくした感覚が忘れられなくて。
寝てしまうのはもったいないけれど、心地よい列車の揺れに眠気を誘われて、
はっと目を覚ますと、車窓からは、
朝焼けに照らされた穏やかで大きな北海道の大地が広がっている。
その時の感動は、とても鮮明に覚えています。

上野発、北斗星1号。
ホームに待機する濃紺の車両を目にすると、ますます胸が高鳴る。
お母さんと一緒に小さな男の子が列車に乗ろうとしている。
その男の子の少し緊張しながらもわくわくしていて、
興奮をおさえきれない、そんな様子を見て、
僕が小さな時も、きっとこんな感じだったのかな、と微笑ましくなる。

上野を出て、しばらくは都会の街並みを列車が走り、
見慣れたはずの通勤帰りの満員電車も、
ベッドに横になりながら眺めると、とても不思議な光景に見えてくる。
飛行機だったらとっくに北海道に到着している頃、
列車はまだ宇都宮を通過したところ。
こののんびりした感じが好きです。街の風景がゆっくりと移り変わっていく。
僕はほとんどの時間、車窓に額をくっつける姿勢で、外の景色を眺めていました。
曇り空だった為、残念ながら、満点の星空を眺めることは出来なかったけれど、
そのかわり、ぞっとするほど恐ろしい、暗闇を体験できました。
そんな中、ときおりぽつんと家の灯りが見えた時のなんともいえない安堵感。
街灯もないようなところで暮らす人が過ごす時間と、
満員電車に乗っている人が過ごす時間、
それは大きく異なるものだと思うけれど、同じ速度で流れていることを、
夜行列車の車窓からは、なんとなく感じることが出来ました。

青函トンネルを抜けて、ぼんやりと目を覚ますと、
広がる北海道の大地と海が僕の目に飛び込んでくる。
景色そのものももちろん美しいけれど、
夜行列車で過ごした時間を通して、この風景に出会うことが、
格別の感動をあたえてくれるのかな。

さてさて、北海道ではどんな時間を過ごそうか。